公益財団法人日本デザイン振興会 公益財団法人日本デザイン振興会

テーマ企業インタビュー:株式会社日本ラベル

2020年度東京ビジネスデザインアワード

「東京ビジネスデザインアワード」は、東京都内のものづくり中小企業と優れた課題解決力・提案力を併せ持つデザイナーとが協働することを目的とした、企業参加型のデザイン・事業提案コンペティションです。企業の持つ「技術」や「素材」をテーマとして発表、そのテーマに対する企画から販売までの事業全体のデザイン提案を募ります。

2020年度は、テーマ9件の発表をおこない、113(火・祝)までデザイン提案を募集中です。本年度テーマに選ばれた9社へのインタビューをおこない、技術についてや本アワードに期待することなどをお聞きしました。


お話:株式会社日本ラベル 代表取締役社長 平山良一氏 営業部 平山雄太氏

長年シールや値札などを製造販売してきた日本ラベル。創業の発端は日本で最初にシールをつくったといわれる、レッテルの開祖である平山秀山堂の平山秀雄氏という歴史をもつ。その取り組みは環境負荷の少ない未来を見据えた事業を展開。印刷の精度に左右する完璧な版合わせや特色再現と課題解決力を強みにしたものづくりについて話を聞いた。


高い技術力と環境負荷の少ないものづくり

ーー事業内容について教えてください

 印刷といえばポスターやチラシ、本などがありますが、私たちが印刷しているものはシール、値札、POPなど少し特殊なものを中心に印刷し直販体制で販売することを40年間やってきた会社です。祖父の平山秀雄は平山秀山堂を立ち上げ、日本で最初にシールをつくったといわれています。当時は印刷物の裏に糊をつけたもので、それをレッテルといっていましたが、これはオランダ語で「封印する」という意味のレーテルという言葉をもとに祖父がつくった造語だそうです。

 ーー御社のルーツにはものすごい歴史があるのですね。

それで私の父が立ち上げたのが日本ラベルでした。当時は都内の百貨店向けに糸付きの値札を主につくってきました。ですがシール製品とPOPにシフトし糸付きの値札が衰退していきました。それと近年ではバスラッピングといって車両に貼る大型フイルムの製作も行っています。大型のグラフィックに関しては日本ラベルから独立させたアートテクノ平山でつくっています。


ーー印刷という仕事をする上で大切にしている考えを教えてください。

私が社長に就任してから積極的に取り組んでいるのは環境を中心にした経営です。環境に関してはとくに留意しています。印刷には紙をつかいますが、紙を使う者の責任として、森林資源の扱いに関して意識的にならなければなりません。未来について考えなければなりません。

環境マネジメントシステムに関する国際規格であるISO14001を取得し、日本の印刷業界のグリーン基準であるグリーンプリンティング、それと適正な森林管理であるFSC認証も取得しています。今後はお客様に対しても環境の提案をしなければと思っています。

ーー「完璧な版合わせ」や特色再現といった職人技をお持ちですが、御社の強みを教えてください。

0.1ミリ単位での見当合わせの技術です。当社ではこの見当精度の高さが自慢のひとつです。印刷物は異なる機械をいくつか通して印刷することがあるのですが、その際重要になってくるのが見当合わせです。これが狂ってしまうとバラバラな印刷物ができてしまいます。版合わせはいまではCCDのカメラを使って自動で印刷できる機械もできています。ですが素材による伸び縮みがあり、最終的には人手による微調整が必要不可欠です。色に関してもCMYKの4色でもちょっとした網点の再現力で色は変わってきます。当社の場合はそれを職人の手と目でおこなっており、職人の感性によるところが大きいのです。

ーー機械がやることとはいえ、最終的には人間の目と手の技が仕上がりに影響する世界なのですね。

はい。それと熟練した職人による色をつくる特練り技術も弊社の自慢です。一般の方がみてわからない部分でも、私がみると色ひとつをとってもこれは誰が印刷したものかがわかります。今回のアワードでその部分でも打ってでてみたいと思っています。


課題解決力で世の中にない提案をする

ーー今回の企業テーマについて教えてください。

デザイナーやプランナーのみなさんからのさまざまなアイデアと私たちの技術力を掛け合わせて具体化していきたいと思っているのですが、最適な素材選びなど日々Bto Bのお仕事で培ってきたシールを印刷するノウハウの蓄積が私たちはあります。今回のアワードではデザイナーのみなさまのアイデアを具現化するために、弊社がもつ課題解決力を活かすことができないかと思ってこのテーマにさせていただきました。

 ーーシール、値札、POP以外にはどのようなものをつくっていますか?

 時計メーカーさんとのお付き合いも多く、時計にまつわる副材や、印刷にまつわる小ロット多品種の対応もさせていただいています。シール・ラベルだけではないソリューションの開発にも携わらせていただいています。

ーー箔押し加工や特殊な形状への加工などにも対応していただけるそうですが、そのほかにはどのような印刷に対応していますか?

特殊なものですと、開封したことがわかるセキュリティ封印シール、個人情報保護シールのニーズもセキュリティ意識の高まりから近年増えてきています。そのほかにも樹脂盛りによる点字を用いたバリアフリー印刷、凹凸をつける浮き出し印刷、特殊インクを使った印刷、箔押しなど多様なものをつくっています。職人技によるものですと、偽造防止などに使われるコンマ2ミリほどの小さなマイクロ文字を印刷できる技術をもっています。

加工機を使うものですと、台紙を残したり枠を残す半抜き、全抜き、レーザーをつかって細かく抜く加工もできます。今では珍しくなってしまった糸を使う加工機も3機所有しています。

版で大量に印刷するものから、100枚や極端な例では1枚単位で異なるバーコードやQRコードを入れたいというご要望もありまして、そういうものにも対応できるデジタル印刷技術も取り入れています。

印刷での技術、加工による技術、データ作成上での技術を組み合わせることで、唯一無二な印刷ができるようになるのではないかと思っています。

ーーシールに使う素材に関してはいかがですか?

現在ではさまざまな用紙がでていまして、貼る対象によって素材や糊があります。ですので課題解決力を活かしてその都度対応させていただいております。素材の面白さでいいますと、木でできた木目ラベル、においを消す効果と抗菌効果をもったハルシックイ、苦味ラミネートなど、最近では機能性をもった素材も多くでています。


印刷で世の中を変えたい

ーー印刷に関わる上で大切にしていることを教えてください。

 ラベルに関しては商品の顔であり、お客様に対してファーストコントタクトになるものです。そういった意味では私どもにかかる責任は重大です。お客さまに届くものづくり、消費者と市場をつなぐ良質なコミュニケーションつくりのお手伝いをするためにはどうすればよいのかを日々考えながらものづくりをしています。

ーー協力企業との連携でのものづくりも可能ですか?

はい。シールやPOPなどに加え、ポスター作成などさまざまな仕事に携わらせていただいています。印刷業界は全部チームなんですね。建築で言えば弊社はゼネコンで、普段から印刷物をつくる専門業者さんとの連携でものづくりをしています。そういった意味では今回のアワードで想定されるほとんどに対応できる協力企業さんがおり、大抵のことができる自信があります。ただし、たとえばプラスチック樹脂でなにかをつくりたいというご相談をいただいた場合は想像ができないのですが、その場合は弊社の方で出来る方法を探します。香港に支社がありまして中国のさまざまな業態の企業とのつながりもありますので、中国の企業さんを頼ることも可能です。


ーー今回のアワードでは雄太さんとタッグを組んで進める予定ですか?

はい。私が社内で指揮を取りながらデザイナーさんと進めて行きたいと思っています。先ほども言いましたが、弊社は「出来ない」とはいわない会社ですのでなんとかやります。平面から立体までいろんなことをやってみたいです。

ーーどんなデザイナーと出会ってみたいですか?

あたらしいかたちもそうですが、世の中にないものを具現化していくためにアイデアを一緒になって考えていけるような、世の中を変える意気込みをもったデザイナーさんと出会ってお力をいただきたいと思っています。


ーー今回プロのデザイン力に期待することは?

最近では抗菌優位性のある印刷素材などもでてきています。コロナ禍の時代にはおいては、それをドアノブに貼って使用するということもあり、そういった使用用途を生み出すということも広い意味でのデザインかと思います。そういった意味では今回のビジネスモデルともつながると思うのですが、私どもがつくる製品の新しい使用用途というものをデザインの力で考えいただけることも期待しています。

実は第一回のデザインアワードに参加させていただいたことがありました。そのときもデザイナーさんに素敵なアイデアをいただきものづくりを進めたのですが、そのときは私どものほうでうまく拡販することができませんでした。今回はそのときの反省も生かして世の中を変えていくものづくりを実現したいという思いをあらたにしています。

ーーデザイナーへのメッセージをお願いします。

シールは身近にあるもので当たり前に思われているところがあるのですが、現代で普通ではないものがたくさんあることをまず知っていただいた上で、だったらこんなことができないか?というあらたな視点をいただければと思っています。社員一同熱い思いで取り組ませていただきます。

株式会社日本ラベル(板橋区)http://www.nihon-label.co.jp

テーマ:確かな課題解決力で培われた「シール・ラベル印刷加工技術」

1981年設立、今期で40年目を迎える。シール・ラベルを中心とした印刷業で、取扱商品は、ラベル・POP・各種タグ・提げ札・カッティングシート・カタログ・パンフレット・大型デジタルグラフィックス出力及び施工・車輌ラッピングなど多岐にわたる。経験豊富なベテラン勢から、新進気鋭の新人社員まで幅広い年齢層の社員が働く環境で、「新しいものを作りたい」「日本ラベルの技術を活かしたい」という思いが社内に浸透している。作り手の人が伝えたいこと・思いを印刷物を通して人々に届け、「人と人のコミュニケーションのお手伝い」を担うことをミッションに掲げている。

インタビューと写真:加藤孝司


2020年度東京ビジネスデザインアワード

デザイン提案募集期間 113(火・祝)まで 

応募資格 国内在住のデザイナー、プロデューサー、プランナーなど 

応募費用 無料 

詳細は公式ウェブサイトをご覧ください

https://www.tokyo-design.ne.jp/designer/  

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