公益財団法人日本デザイン振興会 公益財団法人日本デザイン振興会

デザイン振興のあゆみ

日本におけるデザイン振興活動は、その体制がシステマティックに確立されてから、50年以上がたちました。

デザイン振興の課題は、時代時代によって変化していきます。その歩みは、日本の産業や社会がデザインをいかに必要としてきたかを示す、マイルストーンでもあります。以下その歩みを簡単に紹介します。(写真は歴代のグッドデザイン賞受賞対象)


日本の近代化が始まった150年ほど前から、当時の主な輸出商品である陶磁器や工芸品の形状や色彩を改良する活動がスタートしていきます。これらは外観デザインの改良にすぎませんが、1928年には小規模ながら国立の研究所も設立され、今日的な意味でのデザインの研究と実践的な指導がおこなわれ始めました。この研究所では、ブルーノ・タウトやシャルロット・ペリアンなどの著名なデザイナーを招聘して、伝統的な工芸を産業的視点から捉え直していく試みが展開されていきます。


  • 1957年(昭和32年) 「グッドデザイン商品選定制度(現在のグッドデザイン賞)」スタート
  • 1958年(昭和33年) 通商産業省デザイン課を設置(現在の経済産業省デザイン政策室)
  • 1960年(昭和35年) 日本貿易振興会「JAPAN DESIGN HOUSE」開設

敗戦後の混乱が一段落しても、日本は極めて貧しい国でした。この貧しさから脱却するためには、工業製品の輸出をのばす以外に方策はありません。

しかし輸出を始めてみると、市場での競争に勝てる商品を生みだす技術が足りないことに気づきます。その技術がデザインであることに、日本のリーダーたちが気づき始め、産業振興政策の一環としてデザインを振興する体制が確立されていきます。そして、今日でもデザイン振興活動の中核事業となっているグッドデザイン賞を始め、アメリカからデザイナーを招聘してのデザイン指導事業、人材育成事業などが積極的に展開されていきます。

またこの時期に、日本インダストリアルデザイン協会や日本デザインコミッティーなどのデザイナー団体も設立され、デザイナーの活動も活発化していきます。


  • 1961年(昭和36年) 通商産業省デザイン奨励審議会「デザイン振興機関の設置」を提言
  • 1969年(昭和44年) 財団法人日本産業デザイン振興会(JIDPO)設立
  • 1971年(昭和46年) 公益財団法人日本デザイン振興会、ICSID(国際インダストリアルデザイン団体協議会)に加盟
  • 1973年(昭和48年) ICSID日本大会を契機に、JIDAと協力しデザイン運動「'73デザインイヤー」を展開

輸出が順調に発展していくことで、日本の生活も豊かになりはじめ、耐久消費財を中心に国内市場も発展していきました。これにともない、産業活動におけるデザインの力が次第に理解されるようになり、デザインを総合的に振興する機関が求められるようになりました。

こうした時代的要求を受けて、財団法人日本産業デザイン振興会(以下JIDPO)が設立されます。


  • 1974年(昭和49年) JIDPO、通商産業省から「グッドデザイン商品選定制度」の業務委託を受ける
  • 1975年(昭和50年) JIDPO、「地方デザイン開発推進事業」開始
  • 1981年(昭和56年) 財団法人国際デザイン交流協会(JDF)設立

JIDPOは、JIETO「ジャパンデザインハウス」が展開していた地域の企業が生産する家庭用品を輸出に結びつける事業や、大手製造業へのデザイン啓蒙を図る事業を引き継ぎました。また日本商工会議所が担当していたグッドデザイン商品選定制度の事務局を継承しました。こうした既存の事業を引き継ぎつつ、JIDPOは次第に活動体制を充実させていきます。特に「地方デザイン開発推進事業」は、それまでに展開されていた様々な地方企業支援策をデザインという視点から統合した事業で、全国の府県と連携しつつ主要産地を対象に10年間に渡り展開されました。

またデザインを通じて国際交流を図ることに専門的に取り組む機関として、国際デザイン交流協会が設立されました。この機関は2009年に役割を終えるまで、国際デザインコンペティションやアジア各国とのデザイン交流事業を展開していきます。


  • 1984年(昭和59年) グッドデザイン商品選定制度 対象分野を大きく拡大
  • 1988年(昭和63年) デザイン奨励審議会「90年代のデザイン政策」発表、「デザインイヤー」を提唱
  • 1989年(平成元年) JIDPOが事務局となり「'89デザインイヤー」運動を全国展開

80年代は、生活に質的向上を背景に日本市場が大きく拡大し、日本の産業が大きく飛躍した時代です。こうした成長を受けてあらゆる産業分野でデザインが求められるようになりました。こうした産業界のニーズに対応するため、消費財分野から産業財公共財分野へのデザイン技術の移転を図る振興活動がおこなわれ大きな成果をあげました。

また社会全体の成熟を背景に、デザインには市民の様々な活動の質を高めていく活動を担えることも理解されてきました。そこで通商産業省とJIDPOは、デザインの力を日常的な生活や地域づくりにも生かすことを提唱し、デザインによる新しい活動を展開するよう自治体やデザイン先進企業やデザイン教育機関に呼びかけました。この「デザインイヤー」と呼ばれた運動には、名古屋市の市政100周年を記念して開催された「世界デザイン博覧会」など約400の事業が参加する大規模な運動となりました。この運動によって、デザインを振興する領域が、市民レベル、生活レベルへと拡大しました。


  • 1993年(平成5年) デザイン奨励審議会「時代の変化に対応した新しいデザイン政策のあり方」答申
  • 1993年(平成5年) JIDPO「デザイン人材開発センター」設置
  • 1998年(平成10年) 「グッドデザイン商品選定制度」民営化。JIDPO「グッドデザイン賞」として継承

90年代になると、社会全体の構造的な転換が進み始めます。デザインについても、産業社会型のデザイナーでは対応していくことが難しくなっていくものと推定されます。そこでデザイン奨励審議会は、新しいデザイン人材の育成に取り組むべきことを提言、JIDPOはこれを受け「デザイン人材開発センター」を設立し新しい活動に着手しました。

また行政改革の一環として、通商産業省が主催してきた「グッドデザイン商品選定制度」が民営化され、JIDPOが主催する「グッドデザイン賞」として再スタートしました。これにともないJIDPOは、公的な価値の増大を目指す振興活動をサービスビジネスとして追求するビジネススタイルを追求しはじめます。


  • 2004年(平成16年) 「グッドデザイン賞・アセアンセレクション」を展開
  • 2004年(平成16年) 東京都委託事業「東京デザインマーケット」開始
  • 2004年(平成16年) 「デザイン・エクセレント・カンパニー賞」開始

21世紀を迎え、社会全体の構造的転換が明確になるにつれ、デザインが発揮する提案力への期待が高まってきました。デザインを社会的な資源の一つとして理解し、これをもって社会全体を牽引していく役割を担わせようとする考え方の登場です。

「東京デザインマーケット」は、提案力をもつデザイナーと、ものづくりに秀でた製造業の出会いを促進することで、新しい商品や事業を興そうと意図したものです。また「デザイン・エクセレント・カンパニー賞」は、デザインを経営資源として位置づけ、生活をリードしうる商品やサービスを提供してきた企業経営者を表彰しています。


  • 2006年(平成18年) 「グッドデザイン賞」創設50年。JIDPOは、ミラノ展示会などの記念事業を展開
  • 2007年(平成19年) JIDPO、東京ミッドタウンに移転
  • 2007年(平成19年) 海外学術研究機関との連携拠点「インターナショナル・デザインリエゾンセンター」を設置
  • 2007年(平成19年) JAGDA、九州大学と協同して「デザインハブ」活動を開始
  • 2011年(平成23年) 公益財団法人日本デザイン振興会(JDP) 発足

創設以来、グッドデザイン賞を受賞したデザインは約40,000件を越えるに至りました。

この様な蓄積によって、グッドデザイン賞には、1,500を越える企業やデザイナーから3,000件を越える応募があり、またその認知率は87%に達しています。つまりこの制度は、産業界やデザイナーだけでなく、生活者からの支持を得ることができる社会的な制度へと育ちました。このような数字からみても、日本のデザイン振興は一定の成果を挙げることができたと考えて良いと思います。 しかも「産業化社会」に比べ、デザインへの期待はさらに拡大しています。持続可能な社会とは何か。それをいかに具現化して行けばよいか。こうした課題に答えうる新しいデザイン、そしてそれを産みだす機会づくりが求められています。

JDPはこの「機会づくり」を担当します。六本木移転を契機に設置した「デザインハブ」と「デザインリエゾンセンター」も、こうした機会づくりの一環です。こうしたデザインがイニシアティブを発揮していくためのプラットフォームを整備していくことが、新財団としてのJDPが担うべき課題と考えています。

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