公益財団法人日本デザイン振興会 公益財団法人日本デザイン振興会

テーマ企業インタビュー:株式会社アーク情報システム

2019年度東京ビジネスデザインアワード

東京ビジネスデザインアワード」は、東京都内のものづくり中小企業と優れた課題解決力・提案力を併せ持つクリエイターとが協働することを目的とした、企業参加型のデザイン・事業提案コンペティションです。企業の持つ「技術」や「素材」をテーマとして発表、そのテーマに対する企画から販売までの事業全体のデザイン提案を募ります。2019年度は、テーマ9件の発表をおこない、10月27日(日)までデザイン提案を募集中です。

本年度テーマに選ばれた9社へのインタビューをおこない、技術についてや本アワードに期待することなどをお聞きしました。


お話:株式会社アーク情報システム 代表取締役 佐藤順一氏、ITソリューション部 プロジェクトリーダー 折下俊介氏、数理解析部 今井俊介氏

デザインとのマッチングで世の中にないビジネスモデルを

最新IT技術を利用したソフト開発、パッケージ製品の企画開発を行うICT(インフォメーション&コミュニティー テクノロジー)のフロントランナー。現在多くのインターネットサービスに用いられ、なくてはならないものとなっているクラウドコンピューティング・サービスを企業向けに提供してきた技術の蓄積を生かし、今回の提案では一般ユーザーに向けてよりスマートなくらしの手助けをするツールの開発を目指している。


エンジニアリングにビジネスの観点からデザインを取り入れる

ーー創業の経緯を教えてください。

佐藤:科学技術系のソフトウェア開発会社の元メンバーが設立しました。数理解析を得意とする背景をもつ、エンジニアリング系のソフトウェア開発をする会社として1987年に創業しました。

ーー当時はインターネットやパソコンも一般的ではない時代でしたよね。

佐藤:そうです。当時は一台が億もするようなものすごい値段のメインフレームといわれる大型コンピュータを使っていた時代です。ですので独立してどうこうという時代ではありませんでした。ただその後、ワークステーションという1千万円ほどの業務用高性能コンピュータが登場しました。そのような物理的環境が整ったことも設立にいたる背景としてありました。

ーー顧客はどのような方ですか?

佐藤:エンジニアリング系のシステム開発や構造や流体の数値解析を強みとしていたので、当時からゼネコン、研究所が多かったです。

ーー 一般ユーザーはどうですか?

佐藤:事業領域を広げる中で、20年ほど前から個人向けのパッケージソフトも手がけており、家電量販店などでも販売しています。

ーー現在、開発面において力を入れているものはどのようなものですか?

佐藤: AI、IoTなど現在主流となっているものにはもちろん力を入れています。弊社は数学に強い人材が多いですから、ようやく数学をやってきた者が日の目を見る時代になったと思っています。

ーー御社の強みはどんなところにあるとお考えですか?

佐藤:市場は狭いのですが、少し難しくて大手が参入できないことに取り組み勝負しているところでしょうか。

ーー今回のビジネスデザインアワードでは、運営者と参加者をリアルタイムに繋ぐ「イベントサポートシステム」というテーマを掲げられていますが、これをテーマにした理由を教えてください。

今井:弊社ではこれまで受託開発をメインに仕事をしてきましたが、それだけではなく、自分たちのシステムとして長くかかわっていける仕事を持ちたいという背景がありました。今回の応募テーマであるイベントサポートシステムは弊社の中でも埋もれている技術で、競争の激しいジャンルではあるのですが、サービスを自社で展開して収益を得ていくビジネスモデルを模索していく中で生まれたアイデアでした。ただ出てきたはいいのですが、私どもが検討した段階では、どのような業界に訴えていったら収益を上げることができるのかといったところも含め、止まっていたところでした。そこで今回、私どもが持っている技術にビジネスデザインを取り入れることで、収益性のあるモデルになるのではと期待してテーマとさせていただきました。

ーー現状、どのような展開を考えられているのですか?

折下:ウェブアプリ、スマホアプリとして考えています。どういった業界、サービスとしてどのような新しさをもたせられるか?アイデアの勝負だと思っています。そこが今私たちにはないところで、その部分でのご提案をいただければと思っています。

ーー現在はどのようなフェーズで運用されていますか?

 折下:実際に動作させるところまでは行っていないのですが、プログラムの設計など事前の調査の段階で、今回デザインも含め良いアイデアがいただけたらどんどん内容を更新していきたいと考えているところです。具体的には学校での運動会などのイベントでの利用を想定しています。ビジネスモデルについても検討を行っていて、登録していただいたユーザーさんから月額利用料をいただけるようなモデルで検討しています。

ーー学校以外ではどのようなところを想定されていますか?

折下:音楽フェスなど決められたプログラムがあるイベントには適応ができると思います。

ーーそこには御社が持つ数理解析の高い技術と、これまでの蓄積が強みになるのではないでしょうか。

今井:溜まった情報に分析をかけてそれを活用するということに関して、そういったものが弊社の価値になるということは考えられると思っています。弊社ではそれぞれの部署が独立して業務にあたっているのですが、仕事によっては部署を横断してプロジェクトを進めていくことも多々あります。ですのでそれぞれの分野と数理解析の知見を融合させて、今回のイベントサポートシステムへ応用させるということも考えられると思います。

ーーデザイナーが部署を横断し、より良いものを作るための「調整役」としての立ち居振る舞いをすることも想定されますね。

今井:そうしていただけると嬉しいです。弊社では日頃から、お互いが持っている技術で補完し合いながら仕事をすることを目指しています。ぜひやりたいなと思っています。

ーーその融合というのはどのような意図でそうされているのでしょうか?

佐藤:現在では開発だけでなくあるゆることに言えると思うのですが、狭い分野での知見だけでは立ち行かなくなっていて、今の仕事自体がジャンルを横断的に融合せざるを得ない状況になっています。例えばAIですと、ほとんどの分野でAIが出てきていて、AIの知識を活用し応用させていたくためにも、それ以外の分野の知識が必要になってきています。そうしないとコンサルテーションが出来ません。

ハードとソフトの手触りのある融合を目指す

ーー今回の応募テーマである「運営者と参加者をリアルタイムに繋ぐ「イベントサポートシステム」」があることにより、世の中がどのように変わると思われていますか?

折下:イベントに参加する人がリアルタイムに現場が進行している状況を、自分から取りに行かなくても、プッシュ通知などで把握することができ、そのことで各々の体験自体が豊かになったり、自分が知りたい情報だけを知ることができたり、それ以外の時間を有意義に使うことが出来る状況を作ることでしょうか。それと課題としては、運動会のプログラムや写真など、紙の情報がもつハートフルなところがこれにより失われてしまうことを懸念していて、今回その部分を補うもののご提案も期待しているところです。

ーー機械がやることだけどいかに手触りを残すか、そして人間が使うツールとしての体温や湿度感ですよね。

今井:そうですね。運動会というのはそこに参加する人たちの大切な思い出に結びついているものだと思っていますので、その部分を奪うようなツールになってはいけないと思っています。それとこのサービスが長く続いていけば、同時に皆さんの思い出も蓄積されていくと思いますので、長く続くサービスに育てていければと思っています。

ーーイベント後にイベントごとのまとめサイトのようなものが自動で生成されたり、個人でカスタマイズするようなことが出来れば、ユーザーがこのサービスに愛着をもてるようになるのではないでしょうか。これまでデザイナーと仕事で関わることはありましたか?

折下:画面のデザインをしていただくようなことはあったのですが、それ以外はほとんどありません。ですので今回どのようなアイデアをいただけるのか非常にワクワクしているところです。いただいたアイデアで出来る出来ないはあると思いますので、デザイナーさんとコミュニケーションを取りながら最終的な形を調整するようになると思います。

ーーこの仕事の楽しみはどのようなところにありますか?

折下:普段法人のお客様との仕事が中心ですが、今困っていることをお聞きして、それを改善するためのお客様にとって最適なシステムを設計して作って納めるのが仕事です。業務が改善された、これまでは複雑だったけどすごく楽になったと言っていただけたときには喜びを感じます。それとお客様には見えないところですが、ものすごく複雑なコードを効率的に書いたというような個人的な喜びもあります。

ーーどんなデザイナーと出会ってみたいですか?

折下:IT業界やITの技術、ソフトウェアの深い知識を持っている方はもちろん、あまり詳しくないけど、こんなものがあったら便利なんじゃないかというようなアイデアから、すごく新しいものが出来るかもしれません。ITに詳しくないという方からもどんどんアイデアをいただければ嬉しいです。イベントサポートシステム自体がコアなものですので、そこにこんな機能を付けたらすごいシステムができるんじゃないかというアイデアにもトライしてみたいと思っています。

ーー生活をより良くするためにもデザインとエンジニアリングのマッチングは今後ますます重要になっていくと思います。アークさんのような情報システムに今よりも多くデザインが関わっていくことで、デザイン自体のフィールドも広がっていくことを期待しています。インターネットを通じて日々情報に触れていると否応無しにそこに興味を持ちますし、そのためのシステムを構築するエンジニアの存在価値も今後ますます高まっていくのではないでしょうか?

株式会社アーク情報システム(千代田区) https://www.ark-info-sys.co.jp

テーマ:運営者と参加者をリアルタイムに繋ぐ「イベントサポートシステム」

1987年に設立されて以来、ソフトウェアの開発や構造・流体解析などの受託開発を核としながら、業務分野におけるシステム構築およびコンサルティング、情報セキュリティサービスの提供、パッケージソフトの企画、開発、および販売など多岐にわたる分野で業務を行っている。まじめで技術志向の社員が多く、落ち着いた雰囲気でありながら年齢や役職に捉われないフラットな社風が特徴。社内研究活動や勉強会活動により、新しい技術をキャッチアップして展開できるよう挑戦している。お客様との信頼関係を築くため、専門分野への深い理解と厳密な確認に基づく堅実な仕事を大切にしている。

インタビューと写真:加藤孝司


2019年度東京ビジネスデザインアワード

デザイン提案募集期間 10月27日(日)まで 

応募資格 国内在住のデザイナー、プロデューサー、プランナーなど 

応募費用 無料 

詳細は公式ウェブサイトをご覧ください

https://www.tokyo-design.ne.jp/award.html

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