[Report]サステナブルデザインの先駆者からのメッセージ〜DOMA秋岡芳夫展
グッドデザイン賞の審査委員を1971年から1981年まで11年間にわたって務められた秋岡芳夫さん。「ロングライフデザイン賞」は、秋岡さんの発案によるものと聞いています。この賞が設立されたのは1980年。それ以降日本は、バブルへとまっしぐらに突き進んでいくのですが、グッドデザイン賞はそうした世相には乗らず、「商品の寿命を延ばすこと」がデザインの大きな課題であることを、時代に先駆けて提唱できたのです。
秋岡さんの軌跡を紹介する展示会が、「目黒区美術館」で開催されています。秋岡さんが1950年代に河さん金子さんと始めたデザイン事務所「KAK」の作品、1980年ごろから地域おこしを指導していく岩手県大野村や北海道置戸町で開発された木製品、秋岡さんが収集した職人道具の数々、さらには秋岡さんの仕事机や主催されていた「モノ・モノ・サロン」まで再現されてます。このサロンには何回か参加したこともあり、当時、集っていた方々のお顔を思いだしたりもしました。
会場を一巡して、つくづく器用な方であったと、また一人のデザイナーがすべてを手がけられた時代であったとも感じましたが、秋岡さんの真骨頂は、プロデューサーやオルガナイザーとしての力の発揮にあるように思います。
「造り手100人、使い手1000人」。これはクラフトマンとユーザーを直接結びつけることで健全なものづくりを進めていくネットワーク。「会議によるデザイン」。これは造り手、売り手、買い手が集まる場においてデザイン開発を進めていこうという発想。「モノ・モノ・サロン」を通じて実践されていきましたが、グッドデザイン賞が今日追求しようとしている「デザインプラットフォーム」の原型です。そして「裏作工芸」。地域の生活を支えるものづくり技術を復権させていくことで、地域を再生していこうというビジョンが窺えます。
この展示会の計画段階で、若干お話を聞く機会がありましたが、その時はあまりピンと来ませんでした。ただそれ以来、秋岡さんの話されていたことを反芻していくに従い「秋岡さんは、サステナブルデザインの先駆者」であったことに気づきました。
この展示会は過去を紹介するものではありません。未曾有の災害を契機に、新しい生活を社会を築いていかなければならなくなった私たちへの、秋岡さんからのメッセージなのです。
会期 開催中〜12月25日(日)
場所:目黒区美術館
時間 10:00~18:00入館は17:30まで
(電力事情等により変更される場合あり)
休館日 月曜日
観覧料:一般 900円、大高生・65歳以上 700円、小中生無料
http://mmat.jp/exhibition/archives/ex111029
記事/青木史郎(JDP)
<参考資料>
当会理事 青木史郎が2011年2月に行われた第5回「サステナブルデザイン国際会議」にて
秋岡芳夫さんについて触れたスピーチを行った際のスピーチ原稿を サステナブル会議2011.pdfからご覧いただけます。







