会長 永井一正インタビュー[3] 新しい時代に求められる、プロデュースする力
デザインには経済が伴うのはもちろん、社会性と文化性を兼ね備えることもデザインの本質です。日本の芸術や文化は、伝統的に世界でも認められてきたものですし、これはグッドデザイン賞という運動が目指す成果でもあります。これから新しい時代を迎えるにあたり、本質を志向することがこれまで以上に重要な意味を持ち、本質を追求することが生活者の幸せに繋がります。それは、必ずしも物質的充足という幸せだけではなく、心の幸せも含みます。デザインで人の心を豊かにし、満たすこと。それを企業とデザイナーが考えなければならない時代を迎えます。もちろん、これはデザイン本来の目的ですから、これまでも多くの人が追求してきたもの。しかし、その重要度がさらに大きくなっていくのです。
同時に必要となるのがプロデュースする力です。プロダクト、グラフィック、建築など、多岐にわたる分野のデザインを一体化してプロデュースしていく力が、これからの日本を立て直すために必要です。それらを総合的に扱い、これからの社会をどうするか。私たちの活動ではそれを率先してやりたいと思いますし、まさにそれを形にしていくのがグッドデザイン賞だと考えています。
企業やデザイナーの励みとなり、誇りを持ってその成果を世に送り出すための運動として大きな役割を担うグッドデザイン賞では、その考え方に基づき「これが新時代のデザインだ」というものごとを選んでいきたいと思います。そうすることによって、デザインが説得力を持って社会に浸透していくのではないかと考えています。
当会の周りには審査委員をはじめ、多岐にわたるデザイナーのみなさんがいます。さまざまな分野のデザイナーを集めて衆知を結集し、新しいデザイン提案を生みだし、広めていくこと。それが私たちの活動の中心でありたいと願っています。そして、それを実証した成果を讃え、拡げていく活動を、グッドデザイン賞をはじめとするすべての事業に反映させていきたいと思います。 (了)
1929年大阪生まれ。1951年東京芸術大学彫刻科中退。大和紡績を経て、1960年日本デザインセンター創立に参加。現在、同社最高顧問。JAGDA特別顧問、ADC会員、AGI会員。2011年6月より公益財団法人日本デザイン振興会会長を務める。






