公益財団法人日本デザイン振興会 公益財団法人日本デザイン振興会

第2回 企業経営におけるデザイン活用実態調査

デザイン経営はビジネスを強くする
「第2回 企業経営におけるデザイン活用実態調査」を実施

〜企業におけるデザインへの投資の推進、投資に対する将来的期待は上向きへ〜

(1)デザイン経営に積極的な企業ほど売上が成長し、顧客からも従業員からも愛される。
(2)デザインへの投資はやや増加傾向であり、デザイン投資への将来的期待も向上。
(3)「デザイン経営」の認知度は6割超。
(4)デザイン経営推進上の課題はいまだ解決されていないことが明らかに。


公益財団法人日本デザイン振興会(以下、JDP)は、株式会社三菱総合研究所(以下、MRI)と共同で、2023年3月に「第2回 企業経営におけるデザイン活用実態調査」(以下、本調査)を実施し、本日、その調査結果を発表しました。
本調査は、「デザイン経営」※に取り組む日本企業の活動データを示し、デザイン経営がどのように機能しているかを可視化することで、デザイン経営の一層の促進を図ることを目的としています。2020年2月に実施した第1回の調査(以下、2020年調査)に続く本調査は、過去に「グッドデザイン賞」に応募したことのある企業を対象に、主にデザイン経営への積極度とビジネス成果指標との関係、デザイン経営の推進状況の時系列変化を把握するために実施しました。

※ 「デザイン経営」とは、徹底して顧客や従業員に向き合い、企業のブランドの構築やイノベーションの創出等につなげる経営手法で、2018年5月に経済産業省・特許庁が『「デザイン経営」宣言』を発表して以降、デザインの意味が意匠・造形・装飾に限らず、構想・計画・創出も含むと捉え、デザイン経営を実践する企業が増えています。

調査概要

対 象:過去に「グッドデザイン賞」に応募したことのある企業 5,855社
時 期:2023年3月
方 法:webアンケート調査
項 目:デザイン経営の取組み状況、デザイン経営のアウトカム、『「デザイン経営」宣言』に対する認知度・影響度 等
回答数:493社


デザイン経営の取り組みを把握するための8つの視点

レポートはこちらからダウンロードできます。(PDF)
プレスリリースはこちらからダウンロードできます。(PDF)


(1)デザイン経営に積極的な企業ほど売上が成長し、顧客からも従業員からも愛される

本調査では、「デザイン経営の取り組み」に関する質問の回答結果に対して0~10点の配点を付与し、配点の総計上位から回答企業を4つにセグメント化し、取組みの積極度による比較分析を行いました。
デザイン経営のビジネスへの影響を確認するため、ビジネス成果指標として、財務の観点から「(過去5年の平均)売上増加率」、売上成長の基盤となりうる非財務指標として、顧客満足(CS)の観点から「自社のコアなファン」、CSのベースとなる従業員満足(ES)の観点から「従業員からの愛着」を設定し、セグメント間で比較しました。
その結果、デザイン経営に積極的な企業では、過去5年の平均売上増加率について「20%以上増加」と回答した企業が12.4%、「同業他社と比較しても『コアなファン』は多い」と回答した企業が71.2%、従業員から「とても愛着がもたれていると思う」と回答した企業が23.8%といずれも他のセグメントより高い傾向を示しました。
デザイン経営に積極的であるほど各指標の肯定的な項目の回答率が高い傾向は2020年調査と同様であり、改めてデザイン経営がビジネス面にプラス効果を与える可能性が明らかとなりました。

デザイン経営に積極的なほど売上が成長


デザイン経営に積極的なほど顧客から愛される


デザイン経営に積極的なほど従業員から愛される


(2)この3年でデザインへの投資はやや増加傾向であり、デザイン投資への将来的期待も向上

デザインへの投資状況は、2020年調査と比較し全体として増加傾向にあります。
特にデザイン経営に積極的な企業ほど「増加している」とする割合が増えた点は、注目すべき変化といえます。

デザインへの投資はこの3年でやや増加傾向


デザイン経営に積極的なほどデザインへの投資が推進

また、デザインへの投資に対する将来的な期待についても、「大きな期待がある」とする企業の割合が増加しました。

デザイン投資への将来的期待はこの3年で向上


(3)「デザイン経営」の認知度は6割超

「デザイン経営」に対する認知度は6割を超え、経済産業省・特許庁が2018年5月に発表した「『デザイン経営』宣言」の認知度は「宣言が取りまとめられたこと」のみを知っている層を合わせて3割強でした。

「デザイン経営」の認知度は6割、「『デザイン経営』宣言」の認知度は3割


(4)デザイン経営推進上の課題はいまだ解決されていないことが明らかに

デザイン経営を今後も推進していくと回答した企業の課題として最も多く挙げられたのが「費用対効果の説明が困難」、次点が「新商品・サービスデザインをリードできるデザイナーの不足」で、2020年調査と同様の順位となりました。続く課題についても2020年調査と同じ順位、同水準の回答率となっており、3年を経てもデザイン経営推進を取り巻く課題状況は変わっていないことが明らかとなりました。

本調査では、2020年調査とあわせて、デザイン経営がビジネス面にプラス効果を与える可能性が改めて明らかとなりましたが、この3年間でデザイン経営の課題認識に大きな変化がないことは課題といえます。
一方で、デザイン投資は増強され、その将来的効果に対する期待も高まっている状況が明らかとなり、デザイン経営のさらなる浸透に向けた素地は形成されつつあります。
デザイン経営を一層浸透させていくには、多様なデザイン活用の可能性、および客観的かつ定量的な費用対効果を提示していくことが重要です。それにより、企業経営者がデザインの価値を深く理解し、自社にとって最適なデザイン活用を実践する動きを加速させることができます。
JDPでは、今後も企業や団体、官公庁、デザイナー等との多様な協力関係を通じて、デザイン経営の推進により一層貢献していきます。

デザイン経営推進上の課題はこの3年で変化見られず

レポートはこちらからダウンロードできます。

<ご参考>

本調査結果に関するMRIニュースリリース「デザイン経営はビジネスを強くする」(2023.9.6)
2020年調査の結果についてはこちらをご参照ください。

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