公益財団法人日本デザイン振興会 公益財団法人日本デザイン振興会
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Industrialの枠組みを超えた役割を 【JDP評議員・井出亜夫】

新しく公益財団法人としてスタートを切った、日本デザイン振興会。新しい発足にあたり、当会の評議員・理事を務める方々に、就任にあたってメッセージを頂きました。これからのデザインができること、そして、デザイン振興会に対する期待や想いなどを自由に語って頂きました。順にご紹介していきますので、ぜひご覧ください。


日本デザイン振興会 評議員・理事インタビュー[8]
評議員・井出亜夫


デザインと言えば「見た目の美しさ」であるという理解しかなかった時代から、今やデザインが産業・生活・文化を包括的にオーガナイズしていく認識が深まりつつあります。その時期に日本デザイン振興会が新しい組織になったということを、ひときわ感慨を深くしています。
日本は歴史上、世界に対して盛んに文化を発信していた時代と、そうでない時代があります。江戸時代は鎖国の時代ではありましたが、江戸の文化は、世界に発信されました。明治以降は「殖産興業」の名のもとに自国の工業化への道を邁進し、近年まで文化や生活に主眼を置かなかったように思います。また、輸入されたものへのリアクションを第一とし、自ら発信することを怠ったようです。これまで日本が近代化において歩んだ道は、これから発展を遂げようとする途上国にとって大いに参考になるはずですから、その体験を発信・共有していくべきでしょう。

また、昔から「エンジニア」や「建築家」というとどのような人々かイメージしやすいのですが、「デザイナー」は、やや認知度が低く地位も確立されていないように感じます。日本デザイン振興会は、こうしたデザイナーの社会的認識・地位向上についても取り組んでいくべきだと考えます。ウィリアム・モリスのアーツ&クラフト運動は、産業革命への反省から始まりましたし、社会経済学者のE.F.シューマッハは、「Small is beautiful」で現代文明の根底にある物質至上主義と科学技術信仰を反省し、真の人間社会実現への道を提唱しました。当会もまた「Industrial」の枠組みを超えて、近代のさまざまな制度や仕組みをデザインによって総合化していく役割を担っていくべきだと思います。




井出亜夫(いでつぎお)
日本大学大学院グローバルビジネス研究科 教授
昭和42年に通商産業省入省。その後、平成7年から日本銀行政策委員、平成8年から経済企画庁国民生活局長など、かずかずの役職を務める。主な学術論文に「移行過程にあるわが国経済社会」(家計経済)、「わが国民法の法人制度とNOP法の制定」(学士会報)、「特命全権大使米欧回覧実記と昨日の世界」(NIRA政策研究)、「わが国経済社会のパラダイム変化と成熟した市場経済社会の形成」(FORUM)、「東アジア共同体と日本の戦略」(共著 桜美林大学東アジア研究所)など。主な著書に『アジアのエネルギー・環境と経済発展』慶応義塾大学出版会(編著)がある。2011年より日本デザイン振興会評議員。
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