公益財団法人日本デザイン振興会 公益財団法人日本デザイン振興会
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求められるのは次代を拓く「シナリオ」 【JDP理事・植松豊行】

新しく公益財団法人としてスタートを切った、日本デザイン振興会。新しい発足にあたり、当会の評議員・理事を務める方々に、就任にあたってメッセージを頂きました。これからのデザインができること、そして、デザイン振興会に対する期待や想いなどを自由に語って頂きました。順にご紹介していきますので、ぜひご覧ください。


日本デザイン振興会 評議員・理事インタビュー[5]
評議員・植松豊行


加工貿易立国である我国は、その基盤構造からして「ものづくり」に活路を見出さなければならないことに変わりはありません。この20年間で経済のグローバル化や円価値の高騰などにより、製造業を中心に、産業構造の変化や海外移転の結果、約400万人分もの仕事が無くなりました。
今日、1ドル80円を切る円高の進展により、なおもその傾向は続いています。今後、日本での雇用を伴う新たな価値の創造が無ければ、座して死を待つような状況になりかねません。
そのためには、日本国内で常に新しい価値を創出していくことが喫緊の課題と考えます。求められる新たな価値とは、次代を拓く「シナリオ」、つまり人や環境への配慮を基盤に考察された「モノや社会システム」を描き、生みだしていくことです。これらの新たな価値はモノやシステムを単体として捉えるのではなく、人のタスクや使用環境全体を群として捉え、多様な人々にこれまでにない新たな可能性そのものを提供することでしょう。
このように次代を拓く価値を生み出すことを先導するのがデザインの役割ではないでしょうか。人びとがまだ享受していない価値を、先んじて世の中に示すこともデザインの役割ではないかと考えます。
日本デザイン振興会は、その長い活動実績からも、デザインを核に日本のものづくりをオーガナイズできる唯一の活動組織です。自らの立場を自覚することで、国民が健全な生活をおくり、新たな発展を成し遂げるためにも、新しいものづくりの旗を果敢に振るべきだと考えています。
いまは震災直後で、経済面での停滞は否めませんが、たとえ状況が厳しくても、先頭に立ってともかく先を示す「旗を振る」ことが大切です。そうすれば、理解いただいた方々が参集し、新価値創出への協働が適うと思います。

そして、必ず次代に認められる新たなビジネスチャンスをもたらすものと確信しています。新しいものづくりは、言い換えると社会における新しいものの定義を創出することです。
深澤直人審査委員長の言葉にあるように「何が適正なのか」を意味づけることからスタートすることが肝要です。日本デザイン振興会は、次代の適正さを見出し、普及していく力強いプロデューサーでありたいと思います。




植松豊行(うえまつとよゆき)
東北芸術工科大学 教授
公益財団法人日本デザイン振興会 理事


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