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ニコンデザイン部、新GM小林宏司が掲げる「夢を語れるデザイン」

2011年4月1日、光学機器メーカーであるニコンのデザイン部のゼネラルマネージャー(以下、GM)に小林宏司さんが就任した。ニコンデザイン部は前GMの嵩山(すやま)均さんが立ち上げ、一代にして50余名を数えるほどの大きさに成長した組織だ。今回、そのデザイン部がいよいよ、初めての世代交代を迎える。新GMの小林さんはデザイン部立ち上げ当初からのメンバーであり、嵩山さんの盟友ともいえる存在だ。今回、そんな小林さんに新GMとしての意気込みを聞いた。


−これからのニコンデザインで、注力したいことはどんなことでしょうか?


今までのニコンデザイン部のテーマは嵩山さんの掲げた「わくわくデザイン」でした。これは抽象的ではありますが、長年言い続けていく中で浸透してきたと思います。とはいえ、新たにGMに就任させていただいたからには、まったく同じでは「進化」にならないと思ったんです。では、どうやって「進化」させていくのか?と考え、その結論として至ったテーマが「夢を語れるデザインをしよう」です。

なぜそのデザインになったのか、には必ず理由があります。ただ、今それをデザイナーが自らの言葉で説明しきれているかというと、そうではないと思います。ユーザーが製品を手に取って「これはいいね」と言ってくれたとする。その後に、デザイナーの想いや考えたことを説明してあげることができれば、きっとユーザーはなおその製品を好きになってくれると思うんです。ですから、デザイナーがそういった想いを「夢」という言葉で表現して語っていくということをやっていきたいと考えています。


−製品だけではなくコミュニケーションを強化したいということでしょうか?


そうですね。かっこよく言えば「モノを買うのではなく、夢を買ってもらう」ようになればいいと思っています。でも、実は私自身が現場でプロダクトデザインをやっている時は全く違う考え方だったんです。モノ自体を見て触ってもらって「これはよい」と言ってもらえることがすべてで、言葉で飾り立てるのはおかしいと思っていたんですね。
しかし、今はそれだけではすべてが伝わらないようになってきていると感じます。デザイナーがきちんと説明責任を果たすことが必要になると思います。そして、それをただ説明するのではなく、「夢」というカタチで表現し、説明する。そんなことをやっていかなければならないと考えています。


−キーワードは「夢」ですね?


はい。でも、夢と言ってもただ単に「イメージを語ればよい」というわけではなく、当然ながら「売れるデザイン」を実現しなければなりません。デザインは商売と切り離して存在するのではなく、売れて初めて評価されるところもあります。ですから、そこもしっかり考えながらデザインする必要がある。
デザインしたものの売れ行きまで責任を取る、それがインハウスデザイナーの厳しさでもあり、そして、存在意義でもあると思います。何十万台、何百万台という規模で生産される製品をデザインするのは、メーカーにいるデザイナーだからできることです。だからこそ厳しさもありますが、それだけのユーザーに提供できるのは、とてもやりがいのある仕事です。今後は、そういった部分もうまく融合させ、「夢を語れるデザイン」を一つひとつ形にしていくことにチャレンジしていきたいと思います。





Profile
小林 宏司(こばやし ひろし) 
株式会社ニコン デザイン部 ゼネラルマネージャー
1958年東京生まれ。千葉大学工学部工業意匠学科卒業後、同年日本光学工業(株)(現(株)ニコン)に入社。カメラ設計部デザイン課意匠設計係に配属され、以降24年間に渡ってカメラ、双眼鏡、測定機等のプロダクトデザインを担当。主な担当製品としてカメラではF5、プロネアS、COOLPIX950、COOLPIX5000、COOLPIX5900、D80、双眼鏡ではシェルテ、ミュエットなど。2006年、デザイン部グラフィックデザイン課発足と同時にマネジャーに就任、GUIとパッケージデザインをマネジメントする。2011年より現職。 



記事:蘆澤雄亮(JDP)


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