公益財団法人日本デザイン振興会 公益財団法人日本デザイン振興会
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会長 永井一正インタビュー[2] 「質」と「美意識」を両立させる

これまでは、画期的な技術や新しい機能が先に存在し、デザインはそこに形を与えるための役割を担ってきました。つまり、製品や技術をより良く認知させるためのデザインが求められてきたのです。しかし今後はデザインが製品の「質」にまで関わり、向上させていくことが求められます。製品のコンセプト段階からデザイナーが関わることで、本質的な向上に貢献できます。たとえば、極限までシンプルにした無地の製品であっても、存在感や肌触り、見た目の優しさで「質」を感じさせる。そのように、感覚を満たすことがデザインの役割なのです。

そして、そぎ落としたデザインと装飾性が両立するのも日本の特徴です。まさに、桂離宮と日光東照宮のような両極端な文化が同時に存在しているのも日本の良さなのです。これからは双方の良さをとり、融合させていくことが必要です。本質だけを追い求めるあまり、日本人特有の美意識まで排除してはなりません。「質」と「美意識」の融合によって、はじめて豊かなデザインが完成するのではないでしょうか。

これほどまでに、世界が日本に目を向けた時代はありません。世界の国々から援助の手が差しのべられ、日本を助けようという意識が生まれています。しかし、それにどう応えるのかが同時に問われていることも忘れてはなりません。一朝一夕にできることではありませんが、これから5年、10年とかけてどのように日本が変わっていくのか。それが新しい社会形成のモデルとなり、世界がそれを見て「自分たちにもこのような社会が必要だ」と影響を与えるようになるべきだと思います。

地球温暖化やCO2の排出といったエコロジーの問題、原発のあり方や一部停止による火急の課題としての電力問題。奇しくも震災を契機に、みんなが少しずつ心がけるだけで大きな力になることに気づいています。とくに、さまざまな資源を節約するという観点においては、この機会に家電や身の回りの製品を、効率がよい最新式のものに買い替えるという動きも出てくるでしょう。そうなったとき、買い替えるに値する魅力的なデザインが必要ですし、その買い替えによって経済活動を活性化させていくためには、プロダクトデザインが重要な役割を担うのです。そして、そのときには伝統的に美しいものを模倣するだけではなく、これからの社会でどういう機能やかたち、質感、色彩を持ったものがいいのか、という根本からデザインすることが必要です。それはもちろん企業も考えることですが、デザイナーから「こういうものが使いやすく、美しい」と提案することが必要です。


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永井一正(ながいかずまさ)
1929年大阪生まれ。1951年東京芸術大学彫刻科中退。大和紡績を経て、1960年日本デザインセンター創立に参加。現在、同社最高顧問。JAGDA特別顧問、ADC会員、AGI会員。2011年6月より公益財団法人日本デザイン振興会会長を務める。 

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