会長 永井一正インタビュー[1] デザインと「祈る心」
日本のデザインは、これまでもさまざまな波を経験しながら変化を遂げてきました。近年は幾度目かの低迷期にさしかかっているのでは、と声が出始めていたように思います。そうしたとき、3月11日に未曾有の東日本大震災に見舞われたのです。マグニチュード9.0の地震と、それに伴う津波。まさに、想定外と言うしかない自然の力を思い知らされる出来事が起こってしまいました。
これは、まぎれもなく不幸な出来事です。しかし、それを契機として変化を起こせるかどうかは、すべての日本人の意志にかかっています。まさに今、いろいろなことで日本の経済自体が転換期にあるという気がします。このような時期だからこそ「デザインには何が出来るのか」ということを、一度立ち止まって真剣に考えなければならないと感じます。
今回の大震災で被災された方々の言葉に触れるたび、そこにはとても謙虚で前向きな姿勢を感じます。そこに呪いの感情はなく、これからなんとか復興していこうという気持ちを持っている。それこそ、本来日本人が持っている良さであり、誇りのようなものではないでしょうか。
復興できるかどうか、そしていい社会をつくれるかは人間の意志の問題です。それには日本人が美徳とするあきらめない心や、がまん強さも求められます。
私は、これからの時代のデザインには「祈る心」が重要ではないかと考えています。祈るときに人間はとても謙虚になります。日本に古くから続く自然崇拝の文化のように、謙虚に自然を信じ崇めるという、祈りに通じる精神。それが本当に人のために役立ちたいという願いや、デザインの本質に通じると思うのです。
復興できるかどうか、そしていい社会をつくれるかは人間の意志の問題です。それには日本人が美徳とするあきらめない心や、がまん強さも求められます。
私は、これからの時代のデザインには「祈る心」が重要ではないかと考えています。祈るときに人間はとても謙虚になります。日本に古くから続く自然崇拝の文化のように、謙虚に自然を信じ崇めるという、祈りに通じる精神。それが本当に人のために役立ちたいという願いや、デザインの本質に通じると思うのです。
(
第2回へ続く)
1929年大阪生まれ。1951年東京芸術大学彫刻科中退。大和紡績を経て、1960年日本デザインセンター創立に参加。現在、同社最高顧問。JAGDA特別顧問、ADC会員、AGI会員。2011年6月より公益財団法人日本デザイン振興会会長を務める。






