公益財団法人日本デザイン振興会 公益財団法人日本デザイン振興会

テーマ企業インタビュー:押入れ産業株式会社

2019年度東京ビジネスデザインアワード

東京ビジネスデザインアワード」は、東京都内のものづくり中小企業と優れた課題解決力・提案力を併せ持つクリエイターとが協働することを目的とした、企業参加型のデザイン・事業提案コンペティションです。企業の持つ「技術」や「素材」をテーマとして発表、そのテーマに対する企画から販売までの事業全体のデザイン提案を募ります。2019年度は、テーマ9件の発表をおこない、10月27日(日)までデザイン提案を募集中です。

本年度テーマに選ばれた9社へのインタビューをおこない、技術についてや本アワードに期待することなどをお聞きしました。


お話:押入れ産業株式会社 管理本部長 江頭孝久氏、主任 木戸博美氏、営業本部 佐藤正幸氏

住空間の収納スペースが減少しているといわれる昨今、それと比例してレンタル収納サービスへの需要が高まっている。

名称に「整理整頓」という意味がある、レンタル収納スペース「PiO(Put in order)」を運営する押入れ産業株式会社は、倉庫内コンテナ保管、文書保管、レンタル収納スペースの3つの事業を展開し、トランクルームを使ったビジネスモデル、保管業務のパイオニア。

PiOが展開するレンタル収納スペースのフランチャイズモデルは、「スピード契約」「無人見学」「キーレス」「非文書化」という、業界初の4つのシステムを採用されて注目を集めている。

従来のレンタルスペースのイメージとは異なり、明るく清潔感のある空間づくり、不動産オーナーにとっては、オフィスや住居としては使いにくかった空間に新しい価値をもたらすそのビジネスモデルにデザインはどのような可能性をもたすことができるのだろうか。


365日24時間出し入れ自由のレンタル収納

ーー御社のレンタル収納スペース「PiO」はどのような場所で展開されているのでしょうか。

オフィスとして利用しにくい窓がない地下などのフロアや日当たりのわるいマンションの1階などを改修したケースが多いです。そのようなスペースをスケルトン工事をしてパーテーションを設置し、内装は壁を白く塗ったりタイルカーペットを設置する程度で、水回りも不要ですので、改修工事は約1~2ヶ月ほどで完了します。水道橋のこのスペースは元はタクシー会社の倉庫として利用されていた場所で、いわゆる無窓フロアでテナントにも貸しにくい場所でしたので、ビルオーナーさんにとっては収益を生み出していない場所でした。

ーーPiOのレンタル収納スペースにはどのようなバリエーションがあるのですか?

ベースとなる0.5帖、1帖、1.5帖、2帖、それとボックスタイプのご用意があります。パーテーションの壁を外すことができるので3帖分のスペースにして利用されるお客様もいらっしゃいます。

ーー月々のレンタル料はどのくらいになりますか?

不動産ですので店舗の立地によりますが、この水道橋店は都心になるので、1帖タイプで税込み1万5千円。横浜の店舗は1帖タイプで税込み1万円弱、地方店はもう少し安くなります。パーテーションにはイナバさんの物置を使用していて、引き戸タイプの扉もあり、可動式の棚も付いています。

ーーどのような方が利用されていますか?

個人の方が季節用品や趣味の物を置く第二のクローゼットとして利用されたり、オフィスの書棚として利用するなど企業様のニーズも多いです。

最近では自転車を置く場所として利用される方も多いです。高級な自転車を外に置きたくない方、企業さんでも社員さんが利用される折りたたみ自転車を保管する場所に利用される方もいます。

ユニークなところではサークルで使う衣装を置く場所としてグループで使われている方もいたり、使い方はお客様から教えていただくことが多くて、レンタル収納スペースの使い方は無限だと感じています。

ーー物の出し入れはいつでもできるのですか?

はい。365日24時間いつでも出し入れしていただけます。入室はセキュリティカード一枚で、お部屋のロックは鍵ではなくダイヤルキーでお客様ご自身で暗証番号を設定するようになっています。ダイヤルキーはお客様が退出された際も、私どもの方で初期設定をして新たなお客様に貸し出すシステムになっていますので、セキュリティも万全です。

ーー契約の期間は平均してどのくらいが多いですか?

半年から2年くらいは使っていただいていますが、長期に渡り使用されているお客様も非常に多いです。

ーー収納するものはどのようなものが多いですか?

都心のマンション暮らしをされている方は収納が少ない場合が多いので、衣類の収納場所として、季節用品の入れ替えで使用されている方が多いです。

ーー企業と個人の割合はどの程度になりますか?

地域にもよるのですが、店舗全体では8割が個人利用で、都心ですと半々くらいです。

ーー利用者をリサーチし戦略的に出店されているのでしょうか?

そうしたいとは思っているのですが、商圏としてはマンションが多い場所が有利です。出店に関してはご相談いただく不動産オーナーさんからのお問い合わせに臨機応変に対応している形になります。

ーーフランチャイズに加盟される方はどのような方になりますか?

物件はお持ちですが自分で何かをするのは面倒であるという方や、副業として始めたいので運営は任せたいといったお客様であったりご要望は様々です。管理という部分でオーナーさんにお任せしているのは、お客様が退出した際のお掃除、確認、電球の交換など施設の管理やメンテナンス程度です。

使い手の快適でスマートな暮らしのために

ーー御社は創業当初からレンタル収納スペースのフランチャイズビジネスを展開されていたのでしょうか。

創業は1987年になります。創業の経緯としては、複数の倉庫会社が出資し合い、B to BではなくB to Cの事業をしたいということで、倉庫内の空きスペースを有効利用するために作った会社になります。ですので最初は倉庫内の空きスペースに小型のコンテナを積んでB to C向けに個人のお客様の家財のお預かり、管理からスタートしました。

そのような形で長年やってきたのですが、10数年前からフロア改修型のレンタル収納スペースをするようになりました。ですがオーナーさんとしては管理に手間がかかるということで業績は伸び悩んでいました。それで5年ほど前からレンタル収納スペースの新しいフランチャイズモデルをつくり、オーナーさんに運営上で負担をかけないモデルとしてビジネスを展開するようになりました。

倉庫ですと倉庫会社の管理になりますので、いつでもお客様ご自身で出し入れが出来るという形ではありませんでした。アメリカでは80年代から、利用者が自分で荷物を出し入れできるレンタル収納スペースは「セルフストレージ」として広まっていきました。日本ではなかなか定着してこなかったのですが、近年少しずつ伸びてきたという現状があります。PiOでは現在の365日24時間出し入れ自由という収納スペースとして運営しています。

ーーそういった意味では御社は日本のセルフストレージのパイオニアだと思うのですが、最近ではどのような展開がありますか?

これまではビルを所有する不動産オーナーさんが、空きスペースの有効活用のためにご依頼いただくことが多かったのですが、最近では例えば2階にシェアオフィス、1階にPiOを作ってストックヤードとして利用するといったコンビニエンスなやり方、それとコンビニエンスといえばいろんな組み合わせが広がっていまして、今実際に展開しているのはコインランドリーとのコラボ、さきほどのシェアオフィスとレンタル収納スペースという組み合わせもあり、稼働率も90~100%と好評です。

ーー今回の応募動機もその辺にあるのでしょうか?

そうなんです。私どものレンタル収納スペースはいろんなコラボが可能だと思っています。デザイナーさんにご提案いただきたいアイデアとしては、空間のしつらえとしてデザインが美しいということもひとつにはあるとは思うのですが、様々な職種とのコラボで、用途に近いかたちでのいろいろなバリエーションをデザインしていただいて、ご提案していただけると嬉しく思います。私どもとしてはレンタル収納スペースの空間活用のため、さまざまな業種と組んでいきたいという希望を持っています。

ーーそこにはどんな問題意識や課題があるとお考えですか?

広がりつつあるという実感はあるのですが、まだまだ世の中の人々のトランクルームに対する印象があまり良くないという現状がありますが、私たちはそれをどうにかして良いものに変えたいという思いがあります。ビルの中でもきれいな形でオフィスとして利用されている皆さんと違和感なく利用していただけるもの、シェアオフィスとの関係でいえば、収納という部分でなければならないものになって行けたらと思っています。地方では高齢化ということもあり、自動車の利用が減り、駐車場が余っているというお話も聞きます。外に置くタイプのレンタル収納スペースもこの10月にオープンします。世の中にはまだまだデッドスペースがありますから、レンタル収納スペースとしてクライアントさんにもお客様にも空間を有効活用していただく可能性はあると思っています。

ーー先ほど新しいプログラム開発の話がありましたが、デザイナーとはどんなことに取り組んでみたいですか?

色や形というデザインではなく、用途も含めた活用の部分や、空間創造としてのビジネスモデルの提案のデザインを一緒に考えていただければと思っています。

コンシューマーの方も企業の方も収納に関してさまざまなニーズをお持ちです。

 そのためにもデザイナーさんには、客観的に私どもの取り組みや現状を見ていただき、オリジナルな提案をしていただくことはもちろん、ユーザーさんにはスマートで快適な美しい暮らしのためのお手伝いその実現のために一緒に考えていただければと思います。また不動産オーナーさんには収益を確保しながらリスクの少ない不動産運営といったニーズを受けてのご提案という、ビジネスモデルのご提案をいただければと思います。そのためにも長くお付き合いをしていただけるデザイナーさんと出会うことが出来れば私どもとしては嬉しいです。

押入れ産業株式会社

テーマ:時間・空間・自由を生む「不動産ソリューションシステム」

1987年に中堅倉庫会社と大手企業の出資で設立した「BtoCの保管サービス」のパイオニア。引越・新築・改築時の大型荷物を預かる「トランクルーム事業(倉庫内コンテナ保管)」、企業の機密文書を預かる「文書保管事業」、個人の季節用品や法人の販促物等を保管できる「レンタル収納スペース事業」の3事業をフランチャイズ展開。荷物を守ることを使命とした物流男子が大勢活躍中ではあるが、ここ数年は女性を多く採用し、女性ならではのきめ細やかなサービスを提供している。
2019年7月現在、3事業合計 全国79社104都市131店舗で運営。

インタビューと写真:加藤孝司


2019年度東京ビジネスデザインアワード

デザイン提案募集期間 10月27日(日)まで 

応募資格 国内在住のデザイナー、プロデューサー、プランナーなど 

応募費用 無料 

詳細は公式ウェブサイトをご覧ください

https://www.tokyo-design.ne.jp/award.html

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