2016年頭のご挨拶
年頭のごあいさつ
謹んで新春のお慶びを申し上げます。
去る2015年はデザインに対して社会的な関心、人々の真摯な視線がかつてなく向けられたことを実感させられた一年でした。私どもはそのような状況の中で、主幹事業であるグッドデザイン賞において、5年ぶりに新しい審査体制を編成するとともに、初めて「フォーカス・イシュー」というテーマを掲げて、社会課題に対してデザインの果たす役割や、グッドデザイン賞受賞デザインに込められた可能性を見出し、提言化することに取り組みました。さらに10月には東京の丸の内に、国内初のPR拠点となるグッドデザイン丸の内を開設し、グッドデザイン賞の発信とデザインを核にしたコミュニケーションの活性化を担うスペースとして運用を開始しました。
そして、2016年はグッドデザイン賞が創設60周年を迎える、私どもにとり記念すべき一年となります。戦後しばらくの間を経て、日本の国際的な産業競争力の強化と、国民の生活水準の向上を促進することを目的に開始されたこの事業は、以来絶え間なく変化し続ける人々の暮らしや産業のあり方を、デザインという無限の可能性を秘めた方法論により支え続けることで、より豊かな社会を築くための運動として支持され、今日に至っています。近年ではアジア各地においてもグッドデザイン賞の理念の理解が進み、それぞれの地域においてデザインの意義を普及させることにも貢献しております。
事業創設60周年にあたって、グッドデザイン賞はより切実さを増す社会のさまざまな課題や要求に対して、これまで以上に積極的に働きかけるためのコミュニケーション回路でありたいと考えております。
デザインは社会の中でこそその真価を発揮し、それは日本だけでなく、世界に共通する価値を有しています。私どもは本年も、グッドデザイン賞をはじめとした、デザインが持つ可能性と魅力をさまざまに活用した取り組みを強力に推進してまいります。
本年も皆様からのますますのご支援とご理解を賜りますよう、年初にあたりお願い申し上げます。
平成28年1月1日
公益財団法人日本デザイン振興会
理事長 大井 篤