復興デザインマルシェ、気仙沼へ
公益財団法人日本デザイン振興会では、2011年6月より内部に復興支援デザインセンターを立ち上げ、東日本大震災被災地域の産業と経済をデザインプロモーションにより応援する活動をおこなっています。
その活動のひとつとして毎年実施しているのが、東京ミッドタウンでの「復興デザインマルシェ」。東北地方6県そして茨城県の事業者の方々に出店をしていただき、2日間にわたり地域ならではの商品や食品を販売しています。作り手やデザイナーが直接販売することで、それを買う人とのコミュニケーションが生まれる“出会いのマルシェ”として、毎回楽しみにしてくださるお客さまもいるようなイベントとして定着してきました。
今年も3月15日、16日の2日間にわたって開催され、多くの方々にお越しいただきました。 今回の会場ブースには、KDDI株式会社の復興支援活動とのコラボレーションにより、東北地方の間伐材をご提供いただきました。また、その間伐材を活かしたブース什器は、金属の枠に規格サイズの木材をはめ込むことで簡単にブースが組み上げられる汎用性の高いしくみで、小泉設計室の小泉秀一郎さんによるデザインです。秋田杉のよい香りと、手仕事のあたたかさを感じられる居心地の良い会場となりました。
撮影:秋山まどか(太陽と風の写真館)
また、今回、復興デザインマルシェで使われたブース什器を、気仙沼で開催される地元の方々の「気仙沼 みなとでマルシェ」 でも使っていただけることになりました。ご存知のとおり、宮城県気仙沼市は東日本大震災で甚大な被害を受けた町のひとつで、津波により多くの方が亡くなり、町が崩壊しました。4年経った今、沿岸地域は整備され始めていますが、まだまだ空き地も多く、飲食店街も仮設店舗といった状況です。
糸井重里さん率いるほぼ日刊イトイ新聞の活動により、気仙沼で落語家の立川志の輔さん達が出演する「さんま寄席」が開催され、今回のみなとでマルシェもそれに併せて開催されました。当日は、穫れたての海産物や名物のさんまをつかったお弁当、気仙沼の地酒、地元のお母さん達による手工芸の品などが、復興デザインマルシェのブースを使って販売されました。午前中がメインのマルシェでしたが、朝から満員の大盛況!まだまだ被災の跡が残る気仙沼ですが、地元の方々の元気な「いらっしゃい!」の声にこちらもとても元気づけられました。
なお、このブースで使用された間伐材は、気仙沼を中心に東北地方で100のツリーハウスをつくり観光名所を生み出そうという活動をおこなっている、東北ツリーハウス観光協会に寄贈されることとなりました。これからこの木材が立派なツリーハウスの一部になり、みんなが楽しめる場所となってくれることを願っています。
六本木での復興デザインマルシェから、気仙沼へ。小さなバトンをお渡しできたことを嬉しく思います。このご縁を大切にしていきたいです。関係者のみなさま、ありがとうございました。(JDP 鈴木紗栄)
復興デザインマルシェ 2015 概要
会期 2015年3月15日(日)、16日(月)
会場 東京ミッドタウン アトリウム
出店者 東北地方・茨城県のメーカー、デザイナーなど、約30社
主 催 公益財団法人日本デザイン振興会 復興支援デザインセンター
共 催 KDDI株式会社(企画および間伐材提供)
特別協力 東京ミッドタウン
協 力 山形県工業技術センター、茨城県デザインセンター、地方独立行政法人岩手県工業技術センター
林野庁、全国森林組合連合会、コイニー株式会社
会場・ビジュアルデザイン 小泉秀一郎 (有限会社小泉設計室)
企画ディレクター 柳良樹 (KDDI株式会社)
KDDI NEWS:東京ミッドタウンで「復興デザインマルシェ 2015」開催。