日本デザイン振興会で40年以上にわたりグッドデザイン賞事業に携わる青木史郎(現・日本デザイン振興会常務理事)の、初の単独著書となる「インダストリアルデザイン講義」がこのほど発刊されました。日本社会の変遷と軌を一に発展してきたグッドデザイン賞、その運営に一貫して関わってきた著者ならではの視点で、産業や生活文化とデザインとの関わりが、豊富かつ具体的な事例を通じて読み解かれます。産業デザインをいわゆる「工業製品のデザイン」(ID)のみならず、日々変動し新しく生成され続ける社会の原動力となりうる、「企て」や「試み」までをも包摂させることで、デザインがもたらしてきたこと・デザインが孕む可能性が鮮明に示されています。これまでのいかなる日本のデザイン史をめぐる書籍とも異なるアプローチで、日本の社会におけるデザインのダイナミズムを明らかにした文献です。