シブヤから、日本のデザインを変える。

渋谷は若者の街として知られているが、一時期と比べて勢いが無い。渋谷駅をはじめ、地域一帯が再編されつつあるこれから、もう一度渋谷を大きな主役に位置づけたいと考えました。
西武渋谷店が「Art meets Life」というコンセプトを掲げていることもあり、神宮外苑の東京デザイナーズウィーク、東京ミッドタウンのDESIGN TOUCHやグッドデザイン賞受賞展を考えると、大きなトライアングルを形作る一地点として「渋谷」がデザインの発信地として相応しいのではないかと思いました。
「SHIBUYA DESIGN SITE」は西武渋谷店、渋谷ロフトが拠点ですが、ゆくゆくは渋谷全体にひろがる動きになればと考えています。渋谷は「谷」です。いろいろな事象が吹きだまりのように集まる場所で、その混沌とした中から、単なるサブカルチャーや新しさを追うファッションでない、真の「創造性」のある街に育てていきたい。

SHIBUYA DESIGN SITEでの企画について

〜ジャパンクリエイティブ トークセッション「日本のクリエイティブに未来はあるか?」

ジャパンクリエイティブの目的は「日本の創造性を支援する」ことです。現在、おもに海外のクリエイターと日本の作り手との共作を海外の展覧会で発表しています。今回は「日本の創造性」について、国内でももっと意識を高めたいと考えて企画しました。
国の文化政策をはじめとして、日本のクリエイティブは一見花盛りですが、改めて美意識・創造性という視点で捉え直して議論し、その意識を広めていきたいと思っています。デザインという概念の領域は拡大していますが、クリエイティビティ=創造性はそれをもっと大きく包み込むものですよね。企業や日本として、日本の精神性、生活の知恵、そういった深層にある日本の美意識や創造性を外に働きかけていくべきではないかと思います。
アジアの台頭などを考えると、表層的なデザインはいずれ弱くなっていく。ただ、それに一喜一憂せず、創造性という深層の部分を身につけていれば、日本のクリエイティブは確固たるポジションを築くことができると思います。
ゲストには、クリエイティブの周縁のジャンルから幅広く、今この人の話を聞いてみたいと思う建築家、美術研究家、デザイナー、ものづくりの方などを選びました。デザイナーを含めたものづくりに関わる人、それをサポートする企業の人、そして次の世代を担っていく学生にぜひ聞いていただき、みなさんの中にある創造性に対して意識をもっていただきたいと思います。

〜シブヤデザインマルシェ

ジャパンクリエイティブ の活動を通じて、もちろんその前からも、日本全国にものすごくいいものを作っている作り手がたくさんいることは分かっていました。ただ、広報や流通という点で力が弱く、衰退しているという状況が多くあった。特に「流通経路」は大きな問題です。今はネットという可能性もあって、情報はいままでの流通のプロセスを超えることができる。良いものを、こういったイベントの場で発表することで、もっと活性化させることができるのではないかと思います。
2012年に日本デザイン振興会が東日本大震災からの復興支援事業として開催した「東北デザインマルシェ」に関わったのですが、そのとき、地域の素晴らしい作り手が売り場を通じて多くの人と出会ったり、また作られたものも、たくさんの人の目に触れ、関心をもたれていくという現場を目にしたんですね。日本全国に素晴らしいものはまだまだたくさんあるので、こうした取り組みを続けていきたいと思います。西武渋谷店や渋谷ロフトにとっても、新しい作り手とつながる機会になると思いますね。

シブヤデザインマルシェ  
会 期  11月4日(月/振休)まで
会 場  西武渋谷店  10:00-21:00(日・祝休日は10:00-20:00)
    渋谷ロフト  10:00-21:00