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都内中小企業とデザイナーのコミュニケーションデー 開催レポート

2024年度東京ビジネスデザインアワード

「東京ビジネスデザインアワード」は、東京都内のものづくり中小企業と優れた課題解決力・提案力を併せ持つデザイナーとが協働することを目的とした、企業参加型のデザイン・事業提案コンペティションです。

現在、企業の持つ「技術」や「素材」をテーマとして発表、そのテーマに対するビジネスモデルを含めた新たな製品・用途開発・ブランディング案をデザイナーからの「提案」として募集しています。

9月18日には、応募を検討する全国のデザイナーと今年度テーマ企業とのコミュニケーションデーが開催されました。


こんにちは。工場が大好きな編集者の今井夕華と申します。今回は、9月18日に行われた2024年度東京ビジネスデザインアワード(以下、TBDA)テーマ企業とのコミュニケーションデーについてレポートをお届けします!

まだ暑さが少しだけ残る9月の夕方。東京ミッドタウン・デザインハブにて、2024年度TBDAコミュニケーションデーが開催されました。

この記事を読んでくれている方はすでにご存知かもしれませんが、TBDAとは、東京でものづくりをする中小企業と全国のデザイナーとのマッチングを目指すデザインコンペティションです。12年もの歴史があり、実際に商品化や事業化したプロジェクトが多数。今年度は10月末が提案募集の締め切りで、2月に最終審査というスケジュールになっています。



この日は、応募を検討しているデザイナーと、すでにテーマを提示した企業の担当者合わせて60名ほどが参加。会場はほぼ満席です。

事務局からの概要説明に続き、TBDAの審査委員でデザイナーの秋山かおりさんから、応募に向けてのポイントや、心構えについてお話がありました。

秋山 かおり(プロダクトデザイナー| STUDIO BYCOLOR) 色や素材の持つ力を効果的に活用するデザイン事務所STUDIO BYCOLORを主宰。2002 年千葉大学工学部デザイン工学科卒業、オフィス家具メーカー勤務を経て現在に至る。iF Design Award Gold、German Design Award、DFA アジアデザインGold賞、DIA Top100、グッドデザイン賞受賞、LEXUS NEW TAKUMI PROJECT2016 選出等。千葉大学にて非常勤講師、法政大学デザイン工学部にて兼任講師を務める。

秋山さんは、オフィス家具メーカーで商品開発やプロダクトデザインを10年ほど経験し独立。色や素材に重きを置いてデザインされています。

コンペの流れをおさらいしたあと、初年度の審査委員長でプロダクトデザイナーの廣田尚子さんと、2021年度からの審査委員長でバイヤーの山田遊さんの言葉を紹介しました。

秋山さん:企業とデザイナーという枠を超えて、人と人として、どれだけ付き合っていけるか。プロセスにこそ、デザインの力が求められると思います。協業するなかで、山あり谷ありさまざまなことが起こるでしょう。そこを大切に乗り越えていってほしいですね。

またTBDAは、審査委員が審査終了後もプロジェクトを見守る大変ユニークなコンペです。

実際に私は、昨年度から審査に関わらせていただいて、最終審査会前や最終審査が終わったあとデザインの相談に乗ることもあったし、私たち審査委員も開発の一端を担ったような気持ちになる。今日も、去年参加してくれた方のお顔がちらほら見受けられて。それがすごくうれしいです。

コンペの受賞で終わらせず、そこからどう世の中に伝えていくのか。長く協創できる『パートナー』として付き合い続けることを念頭に、提案を進めていただきたいです。


「テーマの裏側に潜む、企業の悩みを探る」

秋山さん:今回参加する企業は9社。アピールポイントと課題が提示されていますが、デザイナーはそれを鵜呑みにせずに、一歩引いてその意味を考えてみてください。

テーマのアピールポイント→あくまで、現時点で優位性のあるポイント。優位性を広げて見せるアプローチを。

たとえば、2mm以内なら加工ができるという場合。なぜ2mm以上は加工できないのか。マイナスはプラスに変換できないか。現在繁忙期を支えている業務や製品は、今後も繁忙期を支えられるのか。

テーマとなる技術や素材についての悩み→表面に露出されていない部分も含め、マイナスがプラスへ転換される点をデザイナーの視点で見出し、社会へ提案できるアイデアとして昇華させる。

また、普段お付き合いがないタイプの企業とあえて組む、というのも可能性が広がって良いと思います。ぜひ、第三者の目線で企業の課題に向き合い、企業が自走するための起爆剤となってもらえるとうれしいです。

今回もいいマッチングが生まれ、可能性を秘めた企業とクリエイターの新しい物語が始まることを期待しています。

<まとめ>

・デザイナーは、企業の写し鏡となり、企業が自走するきっかけとなってください。

・デザイナーは、堅苦しいことではなく、企業や社会がわかりやすく納得できる「芯」を探すところから、企業と共に物語を始める気持ちで臨んでください。

・デザイナーは、応募の際に「アイデア」だけでなく「協業したい気持ち」を丁寧に伝えてください。

トークのあとは、自由交流タイム。会場では、各テーマ企業の展示ブースが開設されました。

もともとお目当ての企業があったというよりは、ブースを回ってまずは話を聞いてみよう、という方が多かったようです。サンプルを触ったり、技術や素材について時間いっぱいまで熱心に質問をするデザイナーさんたちの姿が印象的でした。

また、今回は秋山さんのトークに合わせて、グラフィックレコーディングを実施。『Graphic Recorder ―議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書』の著者で、その業界の第一人者でもある清水淳子さんに担当してもらいました。ぜひ、レポートと合わせてご覧ください。

イベント中にグラフィックレコーディングをする清水さん

清水さんが描いてくださったグラレコ(トークのプロセス)

今年度のTBDAは、10月30日が提案募集の締め切りです。

気になった方は、募集要項をチェックしてみてください。企業とクリエイターのマッチングで、今回はどんな新しい物語が始まるのか。今からとっても楽しみです!


執筆:今井夕華(いまい・ゆか)/ 編集者、バックヤードウォッチャー

1993年群馬県生まれ。多摩美術大学を卒業後、求人サイト「日本仕事百貨」を経てフリーランス編集者に。小さい頃から社会科見学が好きで、工場や企業、店舗の裏側など「バックヤード」を中心に取材している。


2024年度東京ビジネスデザインアワード

デザイン提案募集期間  10月30日(水)23:59まで

応募資格:国内在住のデザイナー、プロデューサー、プランナーなど、テーマに対してビジネスモデルを含めた新たな製品・用途開発・ブランディング案などを提案できる方

応募費用:無料

東京ビジネスデザインアワードwebサイト https://www.tokyo-design.ne.jp/award.html

公式facebook https://www.facebook.com/TokyoBusinessDesignAward


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