公益財団法人日本デザイン振興会 公益財団法人日本デザイン振興会

「ドイツブランドが世界で成功する理由」セミナーレポート

ドイツのデザインスタジオ、ペーター・シュミット・グループ(所在地:ドイツ、共同代表:アーミン・アンゲラー、ルーカス・コットレル)と、JDPは共催セミナー「ドイツブランドが世界で成功する理由」を、2018年8月27日にインターナショナル・デザイン・リエゾンセンターにて開催しました。

ぺーター・シュミット・グループは、ドイツ・ハンブルグにて1972年に設立され、これまで数多くの世界的企業のデザインやブランディングを手がけてきたドイツ最大のデザイン会社。今後は、ヨーロッパで培ったデザインやブランディングに関する知見・経験を生かし、日本企業の海外展開のサポートや、ドイツブランドについての講演活動を行っていかれます。

当日は、ルーカス・コットレル氏と共に、日本で大手化粧品ブランドのリブランディングの経験をもつクリエイティブディレクター、ハイドルーン・アンゲラー氏、エクゼクティブアドバイザー・日本代表の角田一太氏が登壇し、なぜドイツデザインが100年以上親しまれ、激しい国際競争のなかで世界中から選ばれるのか、その本質を語りました。

内容のセクションは大きく以下の5つで、様々な角度からドイツデザインを検証しました。

①「ドイツが誇るデザインアイコン」

②「ドイツデザインの歴史」

③「ドイツデザインのエッセンス」

④「アイコンからブランドへ」

⑤「ブランディングとデザインの未来予測」

①「ドイツが誇るデザインアイコン」

時を経ても愛されている自動車・カメラ・ファッションブランドなどドイツが誇るブランドを例に歴史を振り返りました。いつの時代を見てもそれぞれのブランドには一貫したデザイン哲学があり、デザイナー達は絶えずブランドのヘリテージと現代ブランドの融合をうまく形成し、一貫性のあるぶれないブランドを守っていると話しました。

②「ドイツデザインの歴史」

ペーター・シュミットを含む有名ドイツデザイナー5名の歴史から、デザインしたロゴ・タイポグラフィ・建物などそれぞれの作品を見ていきました。ドイツデザインのアイデンティティである、本質を追求し、削ぎ落とされたデザインが世界から愛されている理由の背景として、デザイナー達がプロダクトの所以・機能性や企業の思い・性質など様々な角度から分析している点やそれぞれの世界観を紹介しました。

③「ドイツデザインのエッセンス」

これまで紹介してきたブランド・プロダクト・デザイナーを振り返り、共通している重要な5つのエッセンスを一つ一つ解説。ドイツデザインのコアエッセンスは、プロダクトの機能性や所以を分析し考える“精緻性”・“明確性”・“焦点”、ぶれない哲学による“不変性”・“一貫性”であり、強いブランド力が生まれる理由であるとまとめました。

④「アイコンからブランドへ」

世界的に有名な2つのドイツブランドを紹介し、人々に受け入れられるまでのブランドによる戦略やイノベーションを説明。ブランドや製品がもつストーリーや人々にとって親しみやすいコミュニケーションを図ることによって生活に落とし込み、人々の認知度を高めることが、ブランド確立の大切な成功のルールである話しました。

⑤「ブランディングとデザインの未来予測」

今日に至ってもこれまでのドイツデザインの特徴は有効的である一方、今後、直面するであろうデザインの課題をあげました。進化し続ける現代で受け入られるブランドをもつには、唯一無二であることやカルチャーの保有、理に適っていることなどが近い将来、必要であると話しました。

最後の質疑応答の時間には熱心な質問が飛び交い、終了後の懇親会には多くの方が参加し、セミナーは盛況のうちに幕を閉じました。

*告知の段階では、アーミン・アンゲラー氏が出演する予定でしたが、急病となってしまったため、ハイドルーン・アンゲラー氏にかわりました。

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