
【Report】岩手県工業技術センター訪問記
去る6月29日、仙台で行った「復興支援デザインセンター」の説明会のあと、岩手県・青森県と回って「岩手県工業技術センター」に伺ってきました。館内をご案内いただきましたので、レポートしたいと思います。
岩手県工業技術センターは、盛岡駅から車で約10分のところにあります。道中、どの方向を見ても遠方に見える山並み…。曇天も相まって、関東平野に慣れた身としては岩手にきたんだなあ…と実感しながらの訪問でした。
広報も担当されているという、企画デザイン部主任専門研究員の東矢恭明さんに館内をご案内いただきました。

企画デザイン部 主任専門研究員の東矢恭明さん。ご案内ありがとうございました。
入口すぐ奥のスペースでの打ち合せのあと、その棟の一部をご案内頂いたのですが、何しろ広い。一歩奥に踏み入れると、延々と機械ルームや研究室、作業スペースが広がっていました。敷地内には何棟も建物があり、全体では相当な敷地面積です。節電のせいで薄暗い広大な建物と、しんとした静けさに圧倒される思いでした。

とにかく広い!
実はこういった公設のセンターに伺うのは初めてだったのですが、各部屋に大型の産業機械があったり、成型器があったり、漆の乾燥機があったり、その多様さに目を奪われました。
お酒の酵母を育てたり、酒類や食品について研究する部門もあるとのことで、地域の産業を担うため、各企業では導入出来ない大型機械や、技術開発、研究開発などを担っていることを実感。センター内で扱われているお仕事の範疇の広さと専門性の深さを感じました。

ラピッドプロトタイピングで射出した鉄器のデザインのモック。

ユニバーサルデザインの食器。病院や介護の現場などでも、 みんなで使える食器を、と開発したもの。木地がすばらしくて、お子様用にもぴったりだなあと思いました。
そして、ホームスパン関連の機械。ホームスパンというのは羊の毛を使って作られる毛織物のこと。「刈った毛を洗う→染める→ほぐして梳く→紡ぐ→紡いだ糸を織って生地にする→洗って乾かす」という、多くの工程をかけて作られています。
全国シェアの約80%を生産しているという岩手県ならではの機械ですが、大型の機械でかなり旧式ということもあり、今はほとんど使われていないそうです。

洗った羊毛を脱水する機械。真鍮製でぴかぴか。

羊毛をほぐしていく機械。
圧巻なのが、洗った後の生地を乾かす、巾出乾燥機。中でボイラーをたいて乾かしていくそうです。繊細な商品を作るための機械でありながら、かつて主力産業を支えた偉大なる機械!という、迫力のある佇まいでした。数年まえまではひと月に何度か動いていたのだとか。
大きな生地を作る時に必要だから残しておいてほしい、と地元の企業の方に言われているとのことで、今でも火を入れればきちんと動くそう。動くところをぜひ見てみたい、と思いました。

巾出乾燥機

まさに産業機器!というたたずまい。
<感想>
訪問して感じたのは、漆器や鉄器などの伝統産業に工学的技術を取り入れ、生産性を上げながら競争力の高い商品開発をされているのだな、ということです。
2005年には、「ユニバーサルデザイン鉄瓶シリーズ」でグッドデザイン特別賞日本商工会議所会頭賞を受賞しており、2008年にもジャパンブランド事業として、フィンランドのデザイナーと一緒にプロ用の調理器具シリーズ「プロアルテ シリーズ」を開発。とくに海外で高い評価をうけているそうです。

「プロアルテ シリーズ」
「伝統産品の商品開発」というと、最終的には「カタチ」を思い浮かべがちですが、肝要なのはそこではないということが実感できる訪問でした。ウェブサイトによると、一般の方の見学も受け付けているようなので、ぜひおススメしたいと思います。
最後になりましたが、岩手県工業技術センターでも東日本大震災に際するさまざまな支援を行っています。秋以降の活動も予定されているそうですので、私たちとしても引き続きご一緒できることを探していきたいと考えています。
地方独立行政法人 岩手県工業技術センター
http://www.pref.iwate.jp/~kiri/index.html
東日本大震災に関する復興支援メニュー
http://www.pref.iwate.jp/~kiri/sinsaikanren.html
見学をご希望される皆様へ
http://www.pref.iwate.jp/~kiri/kengaku.html
記事/川口真沙美(JDP)
岩手県工業技術センターは、盛岡駅から車で約10分のところにあります。道中、どの方向を見ても遠方に見える山並み…。曇天も相まって、関東平野に慣れた身としては岩手にきたんだなあ…と実感しながらの訪問でした。
広報も担当されているという、企画デザイン部主任専門研究員の東矢恭明さんに館内をご案内いただきました。

企画デザイン部 主任専門研究員の東矢恭明さん。ご案内ありがとうございました。
入口すぐ奥のスペースでの打ち合せのあと、その棟の一部をご案内頂いたのですが、何しろ広い。一歩奥に踏み入れると、延々と機械ルームや研究室、作業スペースが広がっていました。敷地内には何棟も建物があり、全体では相当な敷地面積です。節電のせいで薄暗い広大な建物と、しんとした静けさに圧倒される思いでした。

とにかく広い!
実はこういった公設のセンターに伺うのは初めてだったのですが、各部屋に大型の産業機械があったり、成型器があったり、漆の乾燥機があったり、その多様さに目を奪われました。
お酒の酵母を育てたり、酒類や食品について研究する部門もあるとのことで、地域の産業を担うため、各企業では導入出来ない大型機械や、技術開発、研究開発などを担っていることを実感。センター内で扱われているお仕事の範疇の広さと専門性の深さを感じました。

ラピッドプロトタイピングで射出した鉄器のデザインのモック。

ユニバーサルデザインの食器。病院や介護の現場などでも、 みんなで使える食器を、と開発したもの。木地がすばらしくて、お子様用にもぴったりだなあと思いました。
そして、ホームスパン関連の機械。ホームスパンというのは羊の毛を使って作られる毛織物のこと。「刈った毛を洗う→染める→ほぐして梳く→紡ぐ→紡いだ糸を織って生地にする→洗って乾かす」という、多くの工程をかけて作られています。
全国シェアの約80%を生産しているという岩手県ならではの機械ですが、大型の機械でかなり旧式ということもあり、今はほとんど使われていないそうです。

洗った羊毛を脱水する機械。真鍮製でぴかぴか。

羊毛をほぐしていく機械。
圧巻なのが、洗った後の生地を乾かす、巾出乾燥機。中でボイラーをたいて乾かしていくそうです。繊細な商品を作るための機械でありながら、かつて主力産業を支えた偉大なる機械!という、迫力のある佇まいでした。数年まえまではひと月に何度か動いていたのだとか。
大きな生地を作る時に必要だから残しておいてほしい、と地元の企業の方に言われているとのことで、今でも火を入れればきちんと動くそう。動くところをぜひ見てみたい、と思いました。

巾出乾燥機

まさに産業機器!というたたずまい。
<感想>
訪問して感じたのは、漆器や鉄器などの伝統産業に工学的技術を取り入れ、生産性を上げながら競争力の高い商品開発をされているのだな、ということです。
2005年には、「ユニバーサルデザイン鉄瓶シリーズ」でグッドデザイン特別賞日本商工会議所会頭賞を受賞しており、2008年にもジャパンブランド事業として、フィンランドのデザイナーと一緒にプロ用の調理器具シリーズ「プロアルテ シリーズ」を開発。とくに海外で高い評価をうけているそうです。

「プロアルテ シリーズ」
「伝統産品の商品開発」というと、最終的には「カタチ」を思い浮かべがちですが、肝要なのはそこではないということが実感できる訪問でした。ウェブサイトによると、一般の方の見学も受け付けているようなので、ぜひおススメしたいと思います。
最後になりましたが、岩手県工業技術センターでも東日本大震災に際するさまざまな支援を行っています。秋以降の活動も予定されているそうですので、私たちとしても引き続きご一緒できることを探していきたいと考えています。
地方独立行政法人 岩手県工業技術センター
http://www.pref.iwate.jp/~kiri/index.html
東日本大震災に関する復興支援メニュー
http://www.pref.iwate.jp/~kiri/sinsaikanren.html
見学をご希望される皆様へ
http://www.pref.iwate.jp/~kiri/kengaku.html
記事/川口真沙美(JDP)


