人材育成

デザインが担う役割は、時代に応じて変化していきます。日本が急成長を遂げていた時代と、未曾有の危機に直面しそれを乗り越えようとする今日では、デザインの役割もその社会的機能も大きく異なります。
90 年代前半、経済産業省のデザイン奨励審議会は、デザインに対する社会的要求の変化と、それに対応する人材育成の必要性を提言します。当会はこの提言を受けて「人材開発センター」を発足させ、ポスト産業化社会を担うデザイナーのあり方とその育成方法についての検討を開始しました。そして、人材育成についてのビジョン提言や内外の研究教育機関との連携による実験的活動を展開してきました。

「スキルスタンダード」の開発

プロとしてのデザイナーが持つべき能力と技能を明らかにすることが、人材育成の第一歩となります。
「スキルスタンダード」開発は、東京都が進める都市型産業の創出と高度化の一貫として取り組まれたもので、当会はそのデザイン分野の開発を担当しています。
デザイン版「スキルスタンダード」は、ものづくり分野を中心に、デザイナーに求められる能力や技能を項目ごとに整理し、スコア化したものです。デザイナーは、この基準を使って自己の活動を記録することができます。そうすることにより、自分の能力の特性を把握できるだけでなく、デザインビジネスのためのツールや、社会人教育の体系的取り組みを促進するツールとしても活用することができるのです。

スキルスタンダード

社会人教育の実験的実施

自立したデザイナーとして活躍していくためには、高いデザイン能力だけでなく、ビジネスセンスが求められます。
当会では東京都からの受託を受け、「スキルスタンダード」開発と併行してデザイナーの自立促進のための教育プログラムを実施しています。ここでは、学校教育では学ぶ機会が少なかったマーケティングやマネジメントなどの基礎知識ともに、実践的なワークショップを通じて、リーダーシップやプレゼンテーションの能力を習得していきます。
この教育実験で得られた成果については、社会人教育を行おうとする企業や機関などへ提供していく予定です。

国際的な研究教育ネットワーク

2007年の東京ミッドタウンへのオフィス移転を期に、海外の優れた研究教育機関と日本の企業や教育機関を結ぶ連携拠点「インターナショナル・デザイン・リエゾンセンター」を創設しました。現在リエゾンセンターでは、イリノイ工科大学 インスティテュートオブデザイン、プラットインスティテュート、デルフト工科大学インダストリアルデザインエンジニアリング学部、清華大学美術学院、韓国科学技術院など国内外合わせて15の研究機関と連携しています。
リエゾンセンターは発足以来、日本のデザイナーや学生への教育機会の提供や、日本企業との産学連携などの活動を展開してきました。また、毎年開催している国際学術シンポジウムは次世代におけるデザインの課題を明らかにする機会として、高い評価を得ています。
今後このリエゾンセンターは、国際会議で提唱してきたようなデザインの新しい課題を発見し、国際的な協力のもとにそれを解決していく「オープン・ラボラトリー」としての機能を重視していきたいと考えています。

インターナショナル・デザイン・リエゾンセンター

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